File No も011となった所で、コーヒーブレイクでもちらっと書いた源氏物語系の紹介を。

この本は、源氏物語に出てくる女性たちを主人公にして、女側から書いたもの、と言うとよくある焼き直しなのだが、それとは少しコンセプトがちがう。
女性達が肉声で語る源氏物語といったところか。
理想の女性として紫式部に描かれた彼女も、あからさまにしっとしたり、ライバルの女をけなしたりするし、高貴な手の届かぬ女性である彼女も、子供を守る為にかなり計算高い計画を練ったりしている。

原作の源氏物語では、あまり女性に生身を感じさせない。
女性を主人公にした焼き直しモノも、ある程度女性に意志をもたせているが、まだ原作のワク内から飛び出すことはなかった。

しかし、この作品はちがう。
明らかに自分の主張を声高く叫ぶ女性達がここにいる。
存在感があるといった感じ。
古典然とした源氏物語に少しうんざりしたら、この本で少し見方を変えてみるとおもしろいと思う。