９６年夏にインドを旅行した。
これまでにたくさんの国を訪れたが、すべてはインドにむけての予行練習だったと言っても過言ではない。
インドに行くにあたってガイドブックをさがしたが、案外　「これ！」　と思うものはなかった。
（私にとって “地球の歩き方” は少しもおもしろくないガイドブックＮｏ１であった。）
そんなわけで、あたりさわりのない某社のガイドブックと、この本だけ持っていった。

実は、この本は３、４年前から持っていたが、紛失してまた同じものを購入したといういわくつきのもの。
私がそこまで執着する本はめったにない。

御本人が旅行されたのは７８年、８３年だから、私の旅行とは年月にへだたりはあるけれど、実際インドで感じたものは、この本の中にあるものと同じで、少しおどろいたのが本当のところ。
緻密な絵とすべて手書きの文章が、著者のユーモアや、ちょっぴりいじわるな視線や、壮大な好奇心をマイルドにして私たちに伝えてくれます。

インドに興味がなくても、楽しめる一冊です。